「イングロリアス・バスターズ」
「イングロリアス・バスターズ」
戦局も押しつまった1944年、ナチス占領下にあったフランス。ユダヤ人狩りから逃れて復讐を胸に秘めた少女は、身分を隠して小さな映画館を経営している。そこでナチスの国策映画のプレミア上映会が開催されることになり、しかもヒトラーが直々に出席するという。一方、連合軍から送り込まれた特殊部隊、殺したドイツ兵の頭皮を剥ぐことで悪名を轟かせていた彼らも、プレミア上映会に合わせて作戦を発動。捨て身の復讐戦が始まる。
広い意味では“ナチスもの”映画と言えるのかもしれないが、むしろナチスを題材としてタランティーノお得意のスプラッター・アクションが展開される。敵も味方もとにかくどんどん死んでいくな。史実なんて思いっきりひっくり返しちゃうし。ナチスのユダヤ人虐殺という“絶対悪”について世界的なコンセンサスが出来ているだけでなく、そもそも第三帝国の戯画的な政治空間は現実離れしているから、ナチを殺しまくってもインモラルな感じはしないということか。
キャスティングのトップにあがるのはブラッド・ピットだけど、やはり主役はユダヤ人少女役のメラニー・ロランだろう。おどけた感じでありつつも実は語学に堪能で意外に切れ者というSS将校ランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)にはヒールとしてストーリーを盛り上げる存在感がある。言語や身振りで正体を見破るやり取りには興味を持った。頭が疲れていて何も考えたくないときに観る分にはなかなか面白かった。
【データ】
原題:Inglourious Basterds
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
2009年/アメリカ/152分
(2009年11月28日、新宿ミラノにて)
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