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2009年11月 8日 (日)

本田毅彦『インド植民地官僚──大英帝国の超エリートたち』

本田毅彦『インド植民地官僚──大英帝国の超エリートたち』(講談社選書メチエ、2001年)

・1855年以降、インド高等文官の公開競争学力試験→試験による選抜によって地位を与える近代的メリトクラシーの先駆と言われている。オクスブリッジ出身者を優先的に採用したいという思惑に合わせた試験科目→社会的・知的背景を共有するイギリス人青年が主流(インド人も試験にパスするにはオクスブリッジ出身であることが有利→「王よりも王党的な」インド人)。スコットランド人、アイルランド人、インド人などは高等文官では少数→他の職域でのパーセンテージが大きい。
・本国の内閣でインド担当相は蔵相・外相に次ぐ格付けで、インド高等文官にも高いステータス。
・本書は、インド高等文官となった人々の出身背景、本国のイギリス人政治家・インド高等文官・インド人政治家という三者間の対抗・同盟力学、高等文官の生活誌などを分析。
・インド植民地は本国から実質的に自立した政治的・経済的単位となった→高等文官たちは、インド植民地とイギリス帝国全体、双方への忠誠心でバランスをとる→両大戦間期における帝国の危機、インド・ナショナリズムの高まりなどの新しい動向に対しても、インド統治継続のため政策的調整、インド統治再編成への志向。政治家なのか、官僚なのか?
・イギリス植民地統治の基本は土着権力者を利用した間接統治だったが、インド(藩王国を除く)ではイギリス人植民地官僚の直接統治→リーダーシップを有するジェネラリスト的管理者→退職後は民間セクターへ。
・インド・パキスタンが独立しても高等文官はシステム的にも人的にも継続性あり。

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