『ウイグルの母 ラビア・カーディル自伝──中国に一番憎まれている女性』
ラビア・カーディル、アレクサンドラ・カヴェーリウス(水谷尚子・監修、熊河浩・訳)『ウイグルの母 ラビア・カーディル自伝──中国に一番憎まれている女性』(ランダムハウス講談社、2009年)
“ウイグルの母”ラビア・カーディルからドイツ人ジャーナリストが話を聞いてまとめられた自伝。原著はドイツ語。以前に英訳版Rebiya Kadeer with Alexandra Cavelius, Dragon Fighter: One Woman’s Epic Straggle for Peace with China(Kales Press, 2009)を読んだが、日本語訳の新刊が出たので改めて手に取った。訳文はこなれていて読みやすい。原著には誤り、誇張した箇所等が散見されるそうで、それは監修者によって訂正されている。物語風の構成となっているが、文革、グルジャ事件、獄中の様子等も含め漢族優位の社会体制の中でウイグル人が置かれている深刻な状況が描かれている。彼女の生い立ちを通して、東トルキスタン現代史を知る上でも手引きとなるだろう。英訳版を読んだときには、ラビア女史が状況改善のため女性のエンパワーメントに尽力していたことに関心を持った趣旨のコメントをこちらに書いた。
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