東京都写真美術館「ジョルジュ・ビゴー展──碧眼の浮世絵師が斬る明治」「心の眼──稲越功一の写真」
「ジョルジュ・ビゴー展──碧眼の浮世絵師が斬る明治」
横浜開港150周年記念で日本近代を振り返るイベントが今年は多いが、この企画もそうした一つであろうか。明治期日本にやって来て、江戸期の風俗が近代へと移り変わる様を観察、風刺画を描いたフランス人画家ジョルジュ・ビゴーの展覧会。来日前の水彩画、離日後の仕事も含め、彼の画業をトータルに展示。日本生活に慣れてからの作品には「美好(びこう)画」という署名を見かける。下岡蓮杖の人物写真、磐梯山噴火、日清戦争など当時の写真も展示して対照させる試みが面白い。
「心の眼──稲越功一の写真」
今年の2月に逝去された写真家・稲越功一の作品を総まとめ的に展示。稲越功一という名前は知ってはいたが、作品を意識して見たのは今回が初めて。風景も、その中にある人物も、どっしり構えて撮ったというよりもその時時の思いのままの目線で切り取った感じか。モノクロで、遠景にかすみがかった構図で撮った写真がいくつか私の好きな感じで印象的だった。それから、下町の路地裏を中心に撮った『記憶都市』も興味がひかれて、写真集を改めて手に取ってみたいと思った。
(いずれも、恵比寿ガーデンプレイス、東京都写真美術館にて)
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