「私は猫ストーカー」
「私は猫ストーカー」
古本屋でバイトするイラストレーターのハル(星野真理)、趣味は“猫ストーカー”。坂道、お寺の境内、軒のせまった細い路地裏。舞台は谷根千か(そういえば、漱石の猫の家もこの近辺だな)。界隈に出没する猫をウォッチしてうろつく毎日である。
古本屋と猫という取り合わせは風情があってなかなか良い。姿を消した“看板猫”チビトムを探す貼り紙に「傲岸不遜、されど可愛い奴」とあったが、まさにその通り。猫どものマイペースぶりは、何とはなしにこちらの視線を誘う。チビトムとハルのツーショット、チビトムが眠そうにトローンとして、合わせてハルもトローン。猫もかわいいし、星野真理の飾り気のない面持ちもかわいいなあ。
猫探しを軸に、さり気なく織り成される人間模様。猫の表情、そして街のたたずまいが醸しだす表情、両方を映し出す落ち着いたカメラアングル。とりわけ路地裏にゆったり流れる時間感覚に身をゆだねると心地良い。地味だけど、こういう映画は大好き。
【データ】
監督:鈴木卓爾
原作:浅生ハルミン
脚本:黒沢久子
撮影:たむらまさき
出演:星野真理、徳井優、坂井真紀、江口のりこ、品川徹、諏訪太朗、宮崎将、ほか
2009年/103分
(2009年8月1日、シネマート新宿にて)
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