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2009年7月22日 (水)

上杉隆『世襲議員のからくり』

上杉隆『世襲議員のからくり』(文春新書、2009年)

 議員の当選に必要とされるジバン(後援会組織)・カバン(政治資金管理団体)・カンバン(選挙区内における知名度)が親族間で世襲されている問題。政治資金管理団体を通した政治資金の継承は、事実上、非課税相続ではないかと指摘される。後援会はその選挙区における利権構造をがっちりと組み立てている→議員の引退・死去により地元有力者の間で後継者争いが始まるとこの利権構造が崩れてしまう→血統のシンボル性により親族だとうまく収まる→後援会が世襲を望むという政治風土的構造がある。

 世襲制限の提言に対して、「門地による差別であり憲法違反だ」という反論があるが、そもそも一般人が政界に入る機会の均等が著しく侵害されているのだから、その是正措置は憲法の枠内に収まる。さらに、世襲議員の大半には切磋琢磨の機会がなかった→胆力がない→安倍晋三・福田康夫・麻生太郎のような体たらくになると本書は批判する。選挙区ががっちり固まっている→選挙に悩まされずに長期的な視点で政策に取り組める、という見解も確かにあり得るが、実際には、たとえば麻生太郎とか見てノブレス・オブリージュの感覚がほんのわずかでもうかがえるだろうか?

 さてさて、ようやく衆議院解散。私は政局話が結構好きで、選挙が近くなると、関係ないのに(ていうか、有権者だから関係はあるんだけど、選挙活動には関与しないという意味で)何やらワクワク。開票速報はビールを用意してテレビの前でスタンバイ。スポーツ観戦のノリですな。先日の都議選はなかなか楽しませてもらいました。

 私は、自民党が負けどまるか民主党が勝つかというのはあまり気にしていない(ただし、政権担当能力のある政党が複数存在することによるダイナミズムは必要だから、その点で民主党がきちんと足腰の立つ政党になって欲しいと望んではいる)。以前、こちら(→選挙について適当に)でゴチャゴチャ書いたことがあるけど、選挙結果よりも投票率の方が大事だと思っている。現世超越的なものに統治の根拠が求められなくなった→根拠はどこに?→「民意」というフィクション→既存の統治システムに対して正統性を付与するフィクショナルな仕掛けが選挙(制度内の変革可能性を示して国民の不満をガス抜き)→肝心の有権者が投票に行かなければこの正統性にかげりが出てしまう。それに、投票率高い→無党派が投票行動→組織票の割合が低下して結果の予測不能度が高まる→開票速報がエキサイティング!→ビールがうまくなる(残暑の時候だし)。そうなって欲しいものです。

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