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2009年7月19日 (日)

奥野修司『沖縄幻想』、与那原恵『まれびとたちの沖縄』

 “基地の島・沖縄”“癒しの島・沖縄”──沖縄イメージとしてはこうした二つのステレオタイプがあるだろうか。以前に取り上げた佐野眞一『沖縄 誰にも書かれたくなかった戦後史』(集英社インターナショナル、2008年→こちら)はアンダーグランドの人物群像を通してこうしたステレオタイプに収まりきれない沖縄を描き出しており、興味深く読んだ。

 奥野修司『沖縄幻想』(洋泉社新書y、2009年)は、不動産バブル、観光産業の問題(たとえば、カジノ誘致構想)、補助金の問題をはじめ“癒しの島”イメージの背後で進行中のテーマを追う。伝統食よりも高脂肪食が好まれているため長寿県としての地位は転落中らしい。昔は貧しかったからこそユイマールとしての助け合いもあったが、現在はそうした結びつきも薄れつつあり、とりわけ男性自殺率が高いというのは考えさせられてしまう。

 与那原恵『まれびとたちの沖縄』(小学館101新書、2009年)は、沖縄への外来者に焦点をしぼって歴史的なエピソードをつづる。19世紀、琉球王国にやって来た宣教師ベッテルハイムの異文化での孤軍奮闘ぶりを「ご機嫌ななめ」と表現しているのが面白い。文化摩擦の苛立ちを温かく見守る筆致が良い。伊波普猷が沖縄学を志すきっかけをつくった田島利三郎という人は初めて知った。沖縄音楽に関心を寄せた田辺尚雄が戦時下になると「大東亜民族民謡」なる概念を提唱したあたりには当時の時代的雰囲気が感じられて関心を持った。

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