早川孝太郎『花祭』
早川孝太郎『花祭』(講談社学術文庫、2009年)
三河・信濃・遠江の祭事は日本芸能の縮図的存在として民間信仰史・芸能史では重要らしい。早川孝太郎が自身の故郷・奥三河の花祭を記録した本書はそのことを知らしめた古典とされているらしい。早川は宮本常一などと同様に渋沢敬三・柳田國男によって引き立てられた民俗学者である。
何となく気になっているのだが読まないままの本がいくつかある。早川『花祭』も私にとってそうした一冊だった。高校生の頃、学校の図書館に岩崎美術社の民俗学シリーズがそろっていて(深い水色のハードカバーが記憶に鮮やかだ)、適当に引っ張り出しては、読むともなくパラパラめくって眺めることがよくあった。『花祭』もその中にあった。民俗学への興味がうすれて久しいのだが、なつかしい感じがしてついつい買ってしまった。講談社学術文庫版は岩崎美術社版の復刊だが、これ自体が縮刷版である。大部なオリジナルは岡書院から出されていたということは今回初めて知った。岡書院の岡茂雄についてはこちらを参照のこと(→岡茂雄『本屋風情』)
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