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2009年3月21日 (土)

牧野雅彦『ヴェルサイユ条約──マックス・ウェーバーとドイツの講和』

牧野雅彦『ヴェルサイユ条約──マックス・ウェーバーとドイツの講和』(中公新書、2009年)

 ヴェルサイユ条約、ワイマール共和政確立という政治体制変動期にあたってマックス・ウェーバーはどのような態度をとったのか、彼の関わりを中心に政治史的な動向を描き出す。政治行為への責任の取り方について彼が信念・動機の純粋性を優先させる心情倫理と結果の是非を問う責任倫理とに分類していることはよく知られているが(『職業としての政治』を参照のこと)、これに加えて“戦争責任”の問題を取り上げているところに本書の特色がある。

 戦争の勝敗と道義的な正邪とに本来は関連性がないにもかかわらず、“戦争責任”を一方的にドイツに帰するのはおかしいという立場を彼は示した。勝者の自己正当化という問題もあるが、それ以上に「動機のよくない戦争→負けても仕方なかった」という論理で敗戦国ドイツが受け容れてしまうのは、これもまた敗北というありのままの事実から目を背けようとする裏返しの自己正当化に過ぎず、政治の結果責任を取る態度とは言いがたいと彼は考えた。ニーチェ的なルサンチマンの視点を絡めているところが興味深い(日本の戦争責任の問題について同様の趣旨のことを西尾幹二も論じていたな)。

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