I・ブルマ&A・マルガリート『反西洋思想』
I・ブルマ&A・マルガリート(横田江理訳)『反西洋思想』(新潮新書、2006年)
オクシデンタリズムとは、西洋=非人間的な他者(物質主義、エゴイズム、享楽的etc.とネガティヴなイメージが付与される)とみなし、それへの憎悪が攻撃的政治性と結び付いた思想形態を指す。“東”の側の内面において、“西”的なものと“東”的なものとが葛藤を起こしたときに芽生える。日本における“近代の超克”や特攻隊、ナチズムの源流としてのドイツ・ロマン主義、ロシアのスラブ主義、イスラム過激主義など、話題は幅広く網羅される。個々の論点について雑に思われるところもあるかもしれないが、オクシデンタリズムという一つの軸によって大きな枠組みで整理された比較思想的な試論として興味深いと思う。
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