「チェコのキュビズム建築とデザイン 1911─1925 ホホル、ゴチャール、ヤナーク」展
「チェコのキュビズム建築とデザイン 1911─1925 ホホル、ゴチャール、ヤナーク」展
キュビズムが建築に応用されたのは、世界でも唯一、プラハを中心とした地域だったらしい。ホホル、ゴチャール、ヤナークという三人の若手建築家たちが主導した。第一次世界大戦・チェコスロバキア独立などを挟む1910~20年代、ほんの十数年ばかりの間に花開いたチェコ・キュビズム建築の展覧会(写真は鈴木豊)。
鋭角的な斜線や結晶形によって幾何学的なフォルムを強調した建築スタイル。変にゴテゴテしたところはなく、簡素な力強さは古びても風格を感じさせる。古い石造建築の多いプラハの街並に溶け込んでおり、中世の教会が背後にそびえているのを意識した建物もあった。写真で撮ると光と影のコントラストがよく映える。展示場で流されている映像資料を見ていたら、一瞬だけど、窓ガラスの光の反射が鋭角的なフォルムとうまくマッチしてなかなか格好良かった。キュビズム建築は光線を意識すると印象深いと思う。
室内に置かれる家具類もキュビズム的に斜線や三角を強調したデザインを施されている。外装も内装もこんなのばかりだと、ピカソの絵の人物のようにカクカクした感じになってしまいそう、というのは偏見か。発展型として、円形を連続させたロンド・キュビズムとか、チェコスロバキア独立後の高揚したナショナリズムを反映して神話や民族的モチーフを取り入れたものもあった。
(東京・京橋、INAXギャラリー、5月23日まで)
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