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2008年10月31日 (金)

ブリヂストン美術館「都市の表象と心象──近代画家・版画家たちが描いたパリ」

 職場から歩いて行ける距離にブリヂストン美術館があるので、昼、ちょっと抜け出した。

 特集展示は「都市の表象と心象──近代画家・版画家たちが描いたパリ」。ナポレオン三世の第二帝政下、オースマンによって大改造が進められたパリ。近代的都市計画の先駆とされる一方で、古き詩情こもる景観が壊されていく時代の移行期、芸術家たちが徘徊しつつ目の当たりにしていたパリの姿を感じさせようとした展示。

 とりわけメリヨンのエッチングが展示の中心をなす。私は初めて見る名前なのだが、ボードレールからも高く評価された人らしい。大きく俯瞰するように描かれたパリの建築群、銅版画の鋭角的な線はスッキリとして格好良いが、同時にどことなく冷たさも感じさせる。屍体公示場のシーン、行き倒れ人だろうか、死体を引きずる人々も小さく描きこまれており、そうした細部から当時のパリの生活光景も垣間見させてくれる。アンリ・ブテという人の絵は雑誌の挿絵という趣きだが、例えば女性のたたずまいの描き方になかなか情感があってとても良い感じ。

 ブリヂストン美術館の常設展示は、近代絵画以降なら何でもあるが、テーマ的なまとまりがないのでもの足りない。ただ、古代オリエントの遺物、たとえばエジプトやメソポタミアの彫像とか、ギリシアの壷とかを集めた一室があるのはすっかり忘れていた。大学生の頃、(名目上に過ぎなかったけど)古代オリエント史のゼミに所属していたこともあって、今でもこういうのを見るのは好き。東京なら、上野の東京国立博物館東洋館や池袋の古代オリエント博物館などはたまに訪れる。中近東文化センターはちょっと不便な所(ICUの近く)にあるのであまり行けない。むかし、飯田橋に古代地中海美術館というのがあって学生の頃よく寄っていたのだが、いつの間にか消えてしまった。どこかの企業がメセナとして運営していたようだから、景気の落ち込みと共に閉鎖されたのだろうな。

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