「西の魔女が死んだ」
「西の魔女が死んだ」
学校でいじめられ、不登校になってしまったマイ(高橋真悠)はおばあちゃんの家に預けられることになった。おばあちゃん(サチ・パーカー)はイギリス人。山の中の洋風の家はなかなか味わいのあるたたずまい。
おばあちゃんは魔女だと聞いたマイは、自分も魔女になりたいと言う。「それには基礎訓練が必要ですよ、マイ。自分で決めたことを最後までやり遂げること。取りあえず、毎日のスケジュールを決めなさい。紙に書いて壁にはっておきましょう。」魔女の“見習い”修行が始まる。一つ一つが手づくりの生活がマイには新鮮で、表情に明るさが戻ってきた。
おしゃべりな郵便屋さんの愚痴に耳を傾ける。隣に住むがさつなケンジさんがマイは大嫌いだったけど、ただ不器用なだけで悪意はなかったことを知る。そして何よりも、おばあちゃんの暖かく包み込んでくれる表情は本当に見ていてホッとする。ストーリーに取り立てて起伏があるわけではないが、一つ一つの触れ合いからマイが心を開いていく様子を見ていると、心地よい暖かさが胸にジンワリと広がってくる。
私が梨木香歩さんの作品を読むようになったのはそう古いことではない。『家守綺譚』(新潮文庫、2006年)や『村田エフェンディ滞土録』(角川文庫、2007年)がきっかけで、それから『西の魔女が死んだ』(新潮文庫、2001年)も手に取った。ジャンルとしては児童文学とされるようだけど、大人になっても十分に気持ちを入れ込んでいける。と言うか、“児童文学”という括り方自体、意味ないし。
【データ】
監督:長崎俊一
原作:梨木香歩
出演:サチ・パーカー、高橋真悠、りょう、大森南朋、木村祐一、高橋克実
2008年/115分
(2008年7月5日、シネスイッチ銀座にて)
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