「隠し砦の三悪人 The Last Princess」
「隠し砦の三悪人 The Last Princess」
時は戦国の世、貪欲で無慈悲な山名家によって秋月家は滅ぼされた。侍たちは城内に隠されているはずの軍資金を探し回るが、瘴気を掘り当ててしまい、秋月城は大爆発。命からがら逃げ出した金鉱掘りの武蔵(松本潤)と石つぶての得意な新八(宮川大輔)は偶然に金を見つけるが、大柄な侍・六平太(阿部寛)に取り上げられてしまった。二人は分け前はやるから国境まで案内しろと命じられる。同行するのは七平太と名乗る若侍。実は、秋月家再興のため脱出を図る姫君・雪姫(長澤まさみ)の身をやつした姿であった。
オリジナルは、黒澤明映画の中でも知名度はあまり高くないかもしれない。千秋実と藤原釜足のデコボコ・コンビが、「スター・ウォーズ」シリーズのR2D2とC3POのモデルになったことはよく知られている。この二人の飄々としたおかしみはなかなか良い味わいを出していたが、新版ではデコボコ・コンビの片方・武蔵と雪姫の間に淡い感情が芽生えるという展開になる。オリジナル版の雪姫を演じた上原美佐(この人、他の映画では見かけない)の毅然とした凛々しさが私には非常に印象深かったのだが、長澤まさみも悪くない。セットは大がかりで凝っているし、時代もの活劇としてなかなか面白かった。
黒澤没後10年にあたるからか、黒澤映画のリメイクが続いている。織田裕二の主演で「椿三十郎」もリメイクされたが見そびれてしまった。去年はテレビで「天国と地獄」「生きる」もリメイクされた。その翌日だったか、会社でおばさん二人が「松本幸四郎はちょっと違うわよね。「生きる」で主演やってた人、あれ、誰だったかしら…?」と思い出せずに悶々としていたので、私がすかさず「志村喬じゃありませんか」と言うと、「どうしてあなたが知ってるのよ!? まだ生まれてなかったでしょ?」。まあ、確かにまだ生まれてませんでしたが、志村喬は好きな俳優だし、何よりも私があらゆる映画の中で一番好きなのは黒澤の「生きる」なのです。
【データ】
監督:樋口真嗣
オリジナル脚本:黒澤明・小國英雄・橋本忍・菊島隆三
脚色:中島かずき
出演:松本潤、長澤まさみ、阿部寛、宮川大輔、椎名桔平、國村隼、他
2008年/118分
(2008年5月24日、有楽町、日劇PLEXにて)
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