「ニライカナイからの手紙」
「ニライカナイからの手紙」
竹富島の明るい陽光が良い感じだ。風希(蒼井優)のもとに、東京の病院に入院している母親(南果歩)から誕生日ごとに手紙が届く。会いに行きたいと言っても、おじい(平良進)は許してくれない。20歳の誕生日になったら理由を説明してくれると母の手紙にはあるが、写真の勉強をしたい風希はおじいの制止を振り切って東京へ行く。
生まれ故郷の濃密な人間関係があり、何よりも亡き母からの手紙があるからこそ、これらが足場となって風希は東京でも頑張れる。風希がおじいの態度に不満たらたらだったように束縛もあるが、他方で、帰ればいつでも暖かく受け容れてくれる人々がいる安心感。もちろん、現実にはあり得ない美化された“故郷”観ではあろうが、私は嫌いじゃない。私はコミュニタリアニズムにどちらかというと同情的だが、それは理屈としてではなく、こうした良い意味での共同体への憧憬があるからだ。
以前、宮台真司がラジオ番組で、最近の日本映画ファンは宮崎あおい派と蒼井優派に分かれる、と言っていたように記憶している。宮台は蒼井優派だという。その頃の私は断然、宮崎あおい派だったが、最近は蒼井優派に傾きつつある。実は、蒼井優がそんなにかわいいとは思っていない。ただ、私の興味を引く映画によく出演しているので目に馴染んできた。最初に「リリィ・シュシュのすべて」を観たときは少々がっかりしていた覚えがあるのだが、改めて見直してみると、一体何を観ていたのかと自らの盲を恥じる。「フラガール」での演技で一挙に蒼井優ファンになったし、最近では「人のセックスを笑うな」で見せたのびやかなあどけなさも良かった。顔立ちとしては今でも宮崎あおいの方が好きなのだが、最近は、青山真治作品を除けば、私が観たいと思う作品に出てこないんだよなあ。「篤姫」なんて一度も観たことがない。
【データ】
監督・脚本:熊澤尚人
113分/2005年
(DVDにて)
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コメント
初めまして。
「ニライカナイからの手紙」は私も見たので、
TBさせていただきました。
蒼井優ちゃんの透明感にぴったりの映像だったような気がします^-^
投稿: izura | 2008年5月 3日 (土) 23時49分