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2008年3月16日 (日)

秋庭俊『帝都東京・隠された地下網の秘密』シリーズ

 我々が何気なく暮らしている東京の街に実はもう一つ裏の顔があった──そんな設定の物語が私は結構好きだ。荒俣宏『帝都物語』シリーズは中学生の頃に読みふけった覚えがある(そういえば、『新帝都物語 維新国生み篇』(角川書店、2007年)が出るやいなや買ったけど、まだ読んでないや)。他にも、海野十三(うんの・じゅうざ、と読みます)『深夜の市長』(講談社・大衆文学館、1997年)、久生十蘭『魔都』(朝日文庫、1995年)、小野不由美『東亰異聞』(新潮文庫、1999年)…、と思いつくままに挙げ始めたらキリがない。江戸川乱歩の描く大正期の東京も、そのレトロにどことなく幻想的な雰囲気が私にとっては“もう一つの東京”として興味が尽きない。

 ところでところで──、東京には本当に裏の顔があるとしたら? 秋庭俊『帝都東京・隠された地下網の秘密』(新潮文庫、2006年)、『帝都東京・隠された地下網の秘密[2]──地下の誕生から「1-8」計画まで』(新潮文庫、2006年)、『新説 東京地下要塞──隠された巨大地下ネットワークの真実』(講談社+α文庫、2007年)といった“東京地下”ものは実に面白い。要するに、東京の地下鉄・地下街には公式には明かされていない軍事的・政治的思惑の痕跡が見え隠れするという話。地図上の記載の微妙な矛盾をきっかけに取材・検証を進めるプロセスそのものがスリリングでなかなか読ませる。日本の近現代史と密接に結び付いているあたりも興味深い。

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