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2008年2月 3日 (日)

「アース」

「アース」(日本語吹替版)

 北極から南極まで縦断しながら地球上に息づく様々な動物たちの姿を見せてくれる。ただし、単に自然の雄大な光景を映し出しただけのドキュメンタリーと考えたら大間違いだ。

 たとえば、アフリカのサバンナ、水を求めてはちあわせたゾウの群れとライオンの群れ。小ゾウを狙って襲いかかるライオンに対し、親ゾウたちが張る鉄壁の防御陣。海中では、クジラやカジキマグロに狙われた小魚の群れが変幻自在に陣形を組み替えて攻撃をかわすスピード感の鮮やかさ。生存をかけて、そして子供を守るため、熾烈な闘いを繰り広げる動物たちの姿には濃厚なドラマがあって息を呑む。

 その一方で、どことなくユーモラスな表情をとらえたシーンではおのずと頬がゆるむ。アマゾンのゴクラクチョウがあんなに巧みにダンスをするのは初めて知った。しかも、事前にきちんと舞台を整えているなんて。滅多にない洪水に出くわし、川を渡るサルたちの仕草も、当人(当サル?)たちは真剣なのだが、いかにもおっかなびっくりという感じで笑ってしまった。子育てのシーンが多く取り上げられており、子供たちの覚束ない足取り、羽ばたきがほほ笑ましい。だが、そうした未熟さが外敵に狙われることになるのだが…。

 数千頭、数万羽もの群れが移動する様子、巨大なジャングルや滝、上空から俯瞰するように撮影された映像が圧巻だ。そこにベルリン・フィルの奏でるメロディーがかぶさり、地球を舞台にとった壮大な映像叙事詩として見ごたえがある。映画館の大スクリーンで観るとやはり迫力が違う。

 映像はBBCによる。木々の葉の色合いを一瞬のうちに変化させる映像手法など、昨年にNHKで放映された「プラネット・アース」でも似たようなシーンを見かけた。この番組はBBCとNHKとの共同制作だったし、今回の「アース」のエンドロールでThanks to NHKという文言を見かけたから、「プラネット・アース」と同じ映像も使われているのだろうか。

【データ】
原題:EARTH
監督・脚本:アラステア・フォザーギル、マーク・リンフィールド、デビッド・アッテンボロー他
音楽:ジョージ・フェントン
ナレーション:渡辺謙
2007年/ドイツ・イギリス/98分
(2008年2月1日レイトショー、新宿バルト9にて)

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