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2008年1月30日 (水)

「ジェシー・ジェームズの暗殺」

「ジェシー・ジェームズの暗殺」

 19世紀後半のアメリカ中西部、南北戦争が終わり、そろそろ“フロンティア”も消滅(世界史の教科書では1890年代とされる)しようという時代。南軍のゲリラ出身だがいまやギャングとして勇名を馳せていたジェームズ兄弟は最後の列車強盗に乗り出そうとしていた。ジェシー・ジェームズ(ブラッド・ピット)に憧れる青年ロバート・フォード(ケイシー・アフレック)が仲間入りを頼み込むところから物語は始まる。

 グループは解散し、メンバーは散り散りになって身を隠した。ところがジェシーは、自身にかけられた懸賞金目当てに裏切ろうとしたと疑った元の仲間を殺す。逃亡生活の中、誰も信用できない孤独、そしてそれを隠そうとする感情の激しい振幅。傍らでジェシーを見つめるロバートの心中には、憧ればかりでなく、恐れ、懸賞金への欲と功名心、何よりもジェシーその人になりきる以上に乗り越えたいという野心、様々な思惑が渦巻いていた。

 ジェシー・ジェームズが西部劇のヒーローとして繰り返し描かれていたのは知らなかった。しかし、この映画には銃弾の飛びかうようなアクション・シーンはない。西部の荒涼たる山野にミニマル的な音楽がかぶさる。その荒々しい美しさが詩情をもって浮かび上がり、人々の孤独な心象風景が胸に迫ってくる感じがする。ブラッド・ピットは貫禄たっぷり。ケイシー・アフレックもひ弱そうだが繊細な表情の揺れを好演している。

【データ】
原題:The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford
監督・脚本:アンドリュー・ドミニク
2007年/アメリカ/160分
(2008年1月26日レイトショー、新宿武蔵野館にて)

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受信: 2008年2月 6日 (水) 20時13分

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