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2008年1月 7日 (月)

台北を歩く②台北駅近くの書店街

(承前)
 台北駅近くの書店街を歩く。神保町の東京堂書店くらいの規模の店がいくつか並んでいる。新刊書店ばかりで古本屋はない。近くの南陽街に予備校が集中しているためか、学習参考書を売っている店も多い。写真1は東方出版社。日本統治時代には台湾で一番大きな書店だった新高堂書店のあった所だ。ぶらつきながら、いくつか適当な店に入ってみた。台北の書店はどこも夜遅くまでやっており、誠品書店敦南本店などは24時間営業している。

 商務印書館といえば近代中国で最も古い由緒ある出版社である。中華人民共和国の成立により、台北の商務印書館は分立したらしい。直営の書店があり、学術書を専門に置いている。日本の雅子妃についての新刊が出たらしく、それに合わせて平台で特集が組まれていた。日本研究書の棚を見ていたら、石原慎太郎『国家的幻影』(国家なる幻影)と家永三郎『戦争責任』の翻訳が同じシリーズで並んでいた。しかも奥付をみると出版されたのは両方ともここ二、三年のこと。意図がよく分からない。

 世界書局は大陸で出版された簡体字の輸入本を専門に扱う書店。古典が多い。店の中央の大型テーブルに平積みされた張愛玲特集が目立った。張愛玲は戦前から上海で活躍していた女流作家で、メロドラマ的な小説で人気を博した。近年、リバイバルの動きがある。平積みされている中に胡蘭成の伝記もあった。やはり戦前から有名な文人で、一時期、張愛玲の恋人だったことでも知られる。彼は汪兆銘政権に参加した経歴があるので台湾に逃れ、さらに日本へ亡命した。日本語でも作品を発表しており、数学者にして熱烈な日本主義者・岡潔と親しくしていた。なお、侯孝賢映画の脚本で知られる朱天文やその妹・朱天心たち姉妹の父親である朱西甯も胡蘭成と家族ぐるみで付き合いがあり、朱姉妹は彼を訪れて日本に滞在した経験がある。

 金石堂書店は三フロアある。店内の雰囲気が、日本でも地方のターミナル駅前にある書店のような感じで、どことなく懐かしい感じがした。新刊コーナーには『ぼく、オタリーマン』とか島田洋七『佐賀のがばいばあちゃん』などの翻訳が並んでいた。『佐賀の~』のオビには有名な脚本家・呉念真の推薦文があった。新刊小説には日本の作品からの翻訳が多い。荻原浩『明日の記憶』が新刊棚に積んであった。

 ウロウロしているうちに夜の八時。さすがに腹がへってきた。ガイドブックを見たら魯肉飯が安くてうまそうなので、丸林魯肉飯という店に行った。再びMRTに乗って、宿泊先の最寄り駅、民権西路站で下車。この店は自助餐、つまりセルフサービスである。カウンターに料理が並び、その後ろに店員さんが立っている。これをくれと指示してお皿に盛り付けてもらう。もちろん日本にもセルフサービスの惣菜屋はあるが、日本とは違って客にはよそわせない。いちいち計量器に載せて計るのが面倒なのだろうか。牛肉の細切りとサヤエンドウの炒め物、小エビまじりの野菜の炒め物を注文した。最後にご飯ものと湯(スープ)を頼んで席につく。

 魯肉飯はご飯の上に刻んだ豚の角煮をかけた素朴な料理。肉の煮込み料理には台湾独特のクセがあるが、タレのしみこんだご飯をかきこむとなかなかうまい。おかず二皿にご飯、スープというのが一人当たりの基本形で、人数が一人増えるごとにおかずを一皿ずつ足していくものらしい。精算したら140元。安上がりだし、手軽だし、自助餐は旅行者にもおすすめだ。

 自助餐はテイクアウトもできる。お店の看板に「便當」と書かれていることがあるが、つまり「弁当」のこと。もともと日本語だが、かつての国民党の国語政策で日本統治時代を思い出させる言葉は排除されたため、「弁」を「便」に変えて、発音はそのままに台湾の人々はこの言葉を使い続けているそうだ(平野久美子『台湾 好吃大全』新潮社、2005年、を参照)。

 自助餐を利用しながら反省したこと。私は中国語を話せないので、カウンターの料理を無言で指さし、「魯肉飯」のピンインだけは予め確認しておいたので“lǔròu fàn”と最後に一言口をきいただけで注文した。しかし、ほとんど無言というのはものすごく感じが悪いだろう。指さす時に、「這個」(Zhège=これ)と言うとか、日本語で「これ」と言ってもジェスチャーで通じるのだから、とにかく何でも声を出すほうがいい。とりあえず声を出しておけば、何か言いたいんだなという最低限の意思は伝わるが、無言はコミュニケーションの拒絶を意味してしまうのだから。

 風邪気味なのか、少し熱があった。そういえば、空港に到着して検疫ゲートをくぐるとき、ピンポンと鳴ってはねられた。体温の高さで第一次チェックをしているようだ。センサーをかざされ、問題はなかったらしくすぐに放免してはくれたが。睡眠薬代わりに機内でワインを2本あけたので余計に熱が高くなっていたのだろう。21:00過ぎには宿舎に戻り、持参したバファリンを飲んでグッスリと寝た。

(続く)

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