「ミッドナイト・イーグル」
「ミッドナイト・イーグル」
元・戦場カメラマンの西崎は、目の前で子供が爆死するのを見てトラウマを抱え、山に引きこもっていた。北アルプス山中で航空機の墜落を目撃、後輩の新聞記者に引っ張られる形で吹雪の中を現場へと歩く。周囲には自衛隊が厳戒態勢を敷いており、ただならぬ緊迫感。墜落したのは米軍のステルス戦闘爆撃機“ミッドナイト・イーグル”で、極秘に核爆弾が搭載されていたのだ。墜落地点へと某国の特殊工作員が集結しつつあり、戦闘状態に西崎たちも巻き込まれてしまう。
ここ最近、安全保障問題について、かつてのイデオロギー的な呪縛による原則論の応酬にとどまっていた時代に比べると、かなりオープンな議論が行なわれるようになってきた。それに伴い、「宣戦布告」(2002年)、「亡国のイージス」(2005年)など、安保問題を題材に取りつつもイデオロギー的な硬直とは離れたところで娯楽映画が製作されるようになってきたのは健全なことで、映画ファンとして歓迎している。この「ミッドナイト・イーグル」にしても出来は悪くないと思う。
日本で戦闘状態が勃発するとしたらどんな設定があり得るか、そんなシミュレーションにこうした映画の面白さがある。日本の安全保障には、憲法第九条による諸々の制約、国民世論としての軍事行動への嫌悪感、対米依存という不安定な立場、そして朝鮮半島情勢など、様々な問題がある。これらは勿論、深刻ではある。ただ、映画づくりという点で割り切って考えると、こうした制約的要素をうまく織り込んで脚本を練り上げれば、ハリウッドのポリティカル・サスペンスとはまた違った形で、ストーリー展開に奥行きが出てきて面白そうだ。
【データ】
監督:成島出
原作:高嶋哲夫(文春文庫、2003年)
音楽:小林武史
出演:大沢たかお、竹内結子、玉木宏、吉田栄作、藤竜也、袴田吉彦、石黒賢、他
2007年/131分
(2007年12月1日、新宿ミラノにて)
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