「魍魎の匣」
「魍魎の匣」(もうりょうのはこ)
最近の邦画では、「三丁目の夕日」シリーズのように、昭和初期の風景を映像的に再現しようという傾向が目立つ。私などは喜んでせっせと映画館に足を運んでいる。「魍魎の匣」もその点では興味深く観た。旧い街並を日本だけで再現するのは難しいようで、中国ロケも行なわれている。クリークを舟で行くシーンなど東京ではなく明らかに上海を思わせるが、これはこれで私は好きだ。
ただし、後半に入ると、安物ハリウッド映画みたいで興ざめする。私は京極夏彦の小説をそんなに読み込んだわけではないが、だいぶ以前に何冊か読んだ印象として、良い意味でほこりっぽいかぐわしさがほんのり漂う感じが好きだった。そうしたレトロ感覚はすっかり台無しだ。キャスティングのクセの強そうな面々にも興味があったのだが、いずれも使い方が中途半端。エピソードを詰め込みすぎてストーリーは呑み込みづらく、特に面白くはない。
【データ】
監督・脚本:原田眞人
出演:堤真一、椎名桔平、阿部寛、宮迫博之、田中麗奈、黒木瞳、柄本明、ほか。
2007年/133分
(2007年12月24日、新宿ミラノにて)
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