« 台湾に行ってきた②(故宮博物院) | トップページ | 台湾に行ってきた④(総統府) »

2007年11月14日 (水)

台湾に行ってきた③(台北、基隆を歩く)

(承前)

 MRT(Mass Rapid Transit=台北捷運)というのは台北市内をタテヨコに結ぶ地下鉄もしくは高架線。料金は最短区間20元から。自販機でトークンを買い、自動改札機にかざして入場する。夕方なのでジャージや制服姿の中高生が車内でワイワイ騒いでいた。本当に日本でも普通にみかける光景だよなあ。

 台北駅で下車。駅からすぐ近くのYMCAホテルに投宿。二人部屋で1泊2,300元。日本円に換算して一人あたり3,000円前後というところか。帰国してから戦前の地図を広げて確認したら、この場所には組合キリスト教会と表示されていた。やはりつながりがあるのだろうか。なお、すぐ近くに新光三越百貨店があるが、ここは日本統治時代、台湾における最高級ホテルの鉄道ホテルがあった場所である。

 荷物を置き、日本でも有名な鼎泰豊で夕食をとることにした。本店は非常に混雑しているということでMRT忠孝敦化駅近くの支店に行った。やはり小籠包がうまい。

 台湾の街を歩いてすぐに目立つ特徴は、歩道がアーケードになっていること。各建物は隣同士ぴったりとくっついて並んでおり、一階の車道に面した一画が歩道用にくり抜かれ、それがつながってアーケードをなすという構造である。各建物ごとに歩道の高さが異なり、足もとに注意しないと段差が危なっかしい。戦前からあるように思われる古い家屋も時折見かける(写真5写真6)。こうした古い家屋にそのまま建て増しして現在の街並みが形成されているようで、たとえば工事で一部分取り除けられた箇所でこんな痕跡も見かけた(写真7)。トマソン発見!とばかりにカメラに収める。

 街行く人々の姿を見ていても日本とそんなに変わらない。以前、ソウルに行った時にも感じたことだが、ちょっと奇妙なパラレルワールドに迷い込んだような気分に陥る。秋葉原にいそうなゴスロリ風の格好をした女の子もみかけた。ただし、髪の毛を染めた人が全く見かけないのは日本と違うところか。電車の中で、もはや東京では見かけることのない制服姿、黒髪の美少女がノートを広げて勉強しているのを見かけ、一人感動したりもした。

 コンビニはセブンイレブンとファミリーマートが中心。他に、ハイマートという現地のコンビニチェーンも多いかな。コンビニの前を通ると、ちょっと独特な臭いがする。台湾のお茶で煮込んだ卵をレジ横で売っており、その臭いが扉から漂い出ている。セブンイレブンでは“関東煮”という名前でおでんも売っていた。関西風だな。ポテトチップやチョコレートなどお菓子は普通に日本語を使った名称の商品が目立つ。台湾社会では現代でも日本語になじみがあるようで、街中の外国語学校の看板を見ても英語と日本語と並べているのが多い。なお、台北市内のコンビニではレジ袋は有料。

 道を歩いていると、時折、血が滴ったような赤い汚れを見かける。最初は何だか物騒な国だなと妙な気分になったが、やがて「ああ、これが檳榔を吐き捨てたあとか」と思い当たる。檳榔というのは噛みタバコのようなもの。クチャクチャ噛んでいると口中真っ赤になるらしい。飛行機の中で読んだ司馬遼太郎『台湾紀行』に、台湾在住歴の長い日本人が檳榔を若い台湾人大学院生にすすめたところ、「若い人はそんなものかみませんよ!」と強い調子で拒絶されるシーンがあった。今では檳榔をたしなむのは年寄りかヤクザ者だけらしい。電車の中でヤクザ風によたった歩き方をする男が口をクチャクチャさせていたが、あれも檳榔か。Hによると、以前は檳榔を吐き捨てた跡はもっとよく見かけたが、最近は少なくなったという。そういえば、台湾高速鉄道の手引書を見たら、車内で檳榔をかむのはご遠慮くださいという趣旨のことが中国語で書いてあった。一説によると、檳榔を噛むのは台湾土着の風習で、大陸と台湾との文化的差異を示す特徴とする考え方もあるらしい。

 台北駅から夜7時頃に出る台湾鉄道普通列車に乗り、海への玄関口、基隆へと向かう。もうすでに暗いので車窓から風景は見えない。30分ほどで到着。基隆は雨の町と言われているそうだが、その言葉通りのお出迎えであった。

 Hに連れられて基隆の夜市を歩く(写真8)。メニューは実に豊富で、台湾風の焼き鳥やら炒飯やら麺やら餃子やら定番があるかと思えば、天ぷら、寿司の屋台も割合に見かけた。臭豆腐の屋台は近寄っただけですぐ分かる。写真9の右側にはカエルが写っているが、そういう私が絶対に食べたくないものもある。中国語と日本語とが並んだプレートが屋台の上にかかっているので、日本人には歩きやすそうだ。ジャージや制服姿の中高生が楽しげに行きかっていた。

 私はあまり腹が減ってなかったし、そもそも屋台で買い食いするのがあまり好きではないのでずっと眺めているだけだったが、Hは水を得た魚のように旺盛な好奇心と食慾をふくらませ、「ここのは昔の給食のカレーみたいでうまいんだよ」とカレーライスをほおばる。ここに来るたびに必ず食べるらしいが、なぜかゴハンを残した。「前の客が食った皿をフキンでふいただけで、そのままよそってるんだよ。」衛生環境は必ずしも良いわけではないが、それを念頭に置いた上で屋台を活用すれば食費は安く済みそうだ。

 基隆港に出た。小雨がしたたるなか暗闇がたれこめ、港の反対側のイルミネーションがちらつくのが見えるばかり。港の水はよどんでいて、ドブのにおい。外洋からは距離があるようで、潮の香りはしない。「ここから日本人が上陸したり、引き揚げたりしたんだよなあ。お前だったらどんなストーリーをつくる?」とHが問いかけてきた。考えてみたら、私自身の祖父母も日本へ引き揚げる際にこの近辺にたたずんだはずだが、そういった感傷めいたものはわいてこなかった。時の隔たりを実感する。

 何やら古そうな大型建築があったので写真に収めた(写真10写真11)。海港大楼。基隆港の税関である。帰国後に調べたら、戦前の植民地時代から税関として使われていたらしい。

 夜9:30頃の列車に乗った。基隆滞在時間は二時間弱。台北に着いたのは10時過ぎ。駅前にある凱撤大飯店という大型ホテルの2階に和民があるのをみかけ、どんなメニューがあるのか確かめようと入ってみた。「なんか新宿で飲んでるみたいだな」と言いつつビールを酌み交わす。

(続く)

|

« 台湾に行ってきた②(故宮博物院) | トップページ | 台湾に行ってきた④(総統府) »

台湾」カテゴリの記事

旅行・町歩き」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/197828/17071169

この記事へのトラックバック一覧です: 台湾に行ってきた③(台北、基隆を歩く):

« 台湾に行ってきた②(故宮博物院) | トップページ | 台湾に行ってきた④(総統府) »