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2007年11月23日 (金)

「自虐の詩」

「自虐の詩」

 通天閣の見える下町のボロアパート。幸江(中谷美紀)は、無愛想・無職のイサオ(阿部寛)の乱暴にじっと耐えながら、不思議そうな周囲の視線もよそに、嬉々として献身的に尽くしている。原作となった業田良家の四コマ漫画を呉智英がどこかで最高の純愛漫画だと評していたように思うが、不器用で孤独な男女が寄り添う姿を描いている。

 別に湿っぽい話ではない。“ちゃぶ台返し”をはじめ、堤幸彦らしいナンセンスな細部へのこだわりのおかげでブラック・ユーモア的な原作のテーストをしっかり織り込んでいる。中谷美紀と阿部寛の二人は、貧乏くささに馴染みながらも決して華を失わず、とても良い。

 みじめな生活ではある。隣の芝生は青いと言うが、我々は往々にして他人との比較によって自分の幸不幸を考えたくなりがちだ。しかし、この二人を見ていると、人生に幸福か、不幸か、そういった区別をつけようという発想自体がそもそも無意味なことのように思えてくる。

【データ】
監督:堤幸彦
出演:中谷美紀、阿部寛、西田敏行、遠藤憲一、カルーセル麻紀、竜雷太、他
2007年/115分
(2007年11月18日、渋谷、シネ・クイントにて)

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祝・目標年間20本達成っ 去年まで、年に1〜2本がいいとこだったのに、やればできるもんだ で、その記念すべき20本目は… 自虐の詩 しょう油のフタが外れる、割り箸がキレイに割れない等々、隣のおばちゃんの言葉を借りるなら“ちゃぶ台ひっくり返すしか脳がない”、....... [続きを読む]

受信: 2007年11月25日 (日) 12時56分

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