「犯人に告ぐ」
「犯人に告ぐ」
神奈川県警の巻島警視(豊川悦司)は七年前の誘拐事件で人質となった子供を死なせてしまった過去を引きずっている。左遷先で成績を挙げているのが再び県警本部長の眼に留まり、未解決の連続児童殺人事件の捜査を任された。手始めに押し付けられた仕事は、捜査責任者としてニュース番組に出演し、情報提供を呼びかける役回り。しかし、挑発的に犯人に直接対話を呼びかけ、稀に見る劇場型捜査が幕を開く。
原作は雫井脩介の同名小説(双葉文庫、2007年)。犯人あぶり出しのため掌紋照合のローラー作戦をやるというのは、個人情報保護のうるさい昨今、無理な設定ではあろうが、そういう粗探しは別として、観ていて引き込まれるように面白い。警察ものサスペンスではおなじみ、出世競争の嫉妬や足の引っ張り合いにもどんでん返しが何回か用意されていてこちらも目が離せない。
「武士の一分」を観た時にも思ったが、巻島に寄り添う老刑事役の笹野高史が味わい深くて実に良い。監督の瀧本智行は、以前に「樹の海」(2004年)を観たことがある。地味だけど結構好きな作品だった。本作でようやくメジャー・デビューしたようで慶賀にたえない。
【データ】
監督:瀧本智行
出演:豊川悦司、松田美由紀、石橋凌、小澤征悦、笹野高史、他。
2007年/173分
(2007年11月17日、新宿、シネマスクエアとうきゅうにて)
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