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2007年10月12日 (金)

「めがね」

 とにかく食べ物がうまそうに見える。と言っても、たいていは普通の食卓に並ぶありふれたもので、グルメ向けの映画ではない。

 荻上直子監督の前作「かもめ食堂」(2006年)はフィンランドという異国の地で和食の味わいを見た目にもよく引き出していた。今回は南島の何もないがゆったりとした風景が舞台。ロケは与論島で行なわれたらしい。

 何も深く考える必要はない。ぼんやり“たそがれ”て、体を動かしたければ“メルシー体操”踊って(笑)、食うもん食ってビール飲んでカキ氷かきこんでれば素直に生きていける、そんな映画です。こういうのんびりした時間感覚はすごく良いなあ。

 光石研の不器用そうな善意も良い感じだし、市川実日子のいつもふてくされたような表情も結構好きなんだけど、やはり真の主役はもたいまさこということで衆目は一致するだろう。正体不明のミステリアスな存在感が意外に自然に見えてしまうあたり、何とも表現しがたい味がある。

【データ】
監督:荻上直子
出演:小林聡美、もたいまさこ、市川実日子、光石研、加瀬亮、薬師丸ひろ子。
2007年/106分
(2007年10月11日レイトショー、銀座テアトルシネマにて)

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