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2007年9月19日 (水)

最近読んだ小説

松尾由美『雨恋』(新潮文庫、2007年)
 海外出張に出たおばのマンションで留守番代わりに暮らすことになった渉。ところが、雨降りの日になると、誰かの気配を感ずる──。3年前、この部屋で殺された千波の姿なき声に頼まれるまま、渉は犯人探しを始めた。真相が判明するたびに、彼女の姿が足の方から少しずつ見えてくる。姿が見えるにつれて二人の気持ちが揺らいでいく様が、露骨なシーンはないのだけれども、不思議とエロチックでなかなか良い。

横山秀夫『深追い』(新潮文庫、2007年)
 ある地方の警察署を舞台とした人間模様を描きだす、7つの作品を集めた短編集。横山の小説は、単に警察を舞台とした推理サスペンスというにとどまるのではなく、嫉妬や愛憎など人間同士の様々な葛藤を的確に描写しているのが魅力的で、私は結構好きだ。表題作は以前、テレビドラマで観たことがある。

本谷有希子『江利子と絶対 本谷有希子文学大全集』(講談社文庫、2007年)
 コミュニケーション断絶状態の純情が暴走するとこうなるんだろうなと思わせる「江利子と絶対」。異形の切ない絶望感、「生垣の女」。なぜか唐突にスプラッター・ホラー、「暗狩」。以上3作を収めた短編集。いずれもテンションが極めて高く、徹底して救いがないほどにグロテスク。はまるか、さもなくば投げ捨てるかのどちらかだな。

本谷有希子『生きてるだけで、愛。』(新潮社、2006年)
 “善意”の押し付けがましさ、暑苦しさを意地悪に茶化しているのは相変わらずだけど、本谷にしてはちょっとおとなしい感じがした。芥川賞候補作だそうな。

長嶋有『夕子ちゃんの近道』(新潮社、2006年)
 フラココ屋なる古道具屋に集る、まったりとした人間模様を描く。読後感は悪くはないけれど、印象は薄い。

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