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2007年8月 6日 (月)

「夕凪の街 桜の国」

 以前にこのブログでもコメントしたことがあるが、こうの史代の原作が好きなので観に行った。昭和30年代、まだ原爆の傷跡が生々しい広島を舞台とした「夕凪の街」。現代に時を移し、原爆症で亡くした姉・皆実の知り合いを訪ね歩く父・旭(堺正章)と、その父がぼけたと思ってあとをつける娘・七波(田中麗奈)の真夏の旅を描いた「桜の国」という二本立て。

 原作の「桜の国」で、かつて被爆者たちの暮らす掘っ立て小屋が並んでいた川岸に旭がたたずむシーンがあった。大きく見開きで、片方のページに昔の家並みが、もう片方に同じ場所だが現代のきれいに整備されて桜の咲きみだれる光景が描かれていた。時の経過が持つ切ない情感を何となく感じさせて印象に強い。原作漫画のやわらかくのほほんとしたタッチが私は好きだった。映画の方は、ストーリーとしては忠実にたどってはいるものの、絵柄の雰囲気までは再現すべくもない。それでも、実写映像の持つ力は現代と過去の空気の違いを感情移入しやすい形で描き出しており、悪くないと思う。

 文部省選定映画のようなコンヴェンショナルなつくりという感じがしないでもない。が、テーマがテーマなだけに、ハンカチで目頭を押さえて鼻をすすらせる音が周囲から聞こえてきたし、かく言う私自身、少々涙腺が危うかった。皆実役の麻生久美子が原作のイメージにぴったりでとても良かった。

【データ】
監督:佐々部清
原作:こうの史代『夕凪の街 桜の国』(双葉社、2004年)
2007年/118分
(2007年8月4日、新宿、シネマスクエアとうきゅうにて)

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