梅佳代、新刊立て続け
書店の芸術書フロアをふらついていたら、梅佳代の新刊が立て続けに刊行されたようでフェアが組まれていた。そんなに特別なファンという自覚はないのだが、やはり梅の写真は面白いのでついつい手に取ってしまう。
『うめ版』(三省堂、2007年)は『新明解国語辞典』から抜き出した言葉に梅の写真を添えるという構成。組み合わせの妙に思わず顔がほころぶ。オビにある2枚の写真が良い。腕組みしてふてぶてしく横目にこちらを睨みつける少女に付けられた言葉は「ライバル」。「恋」という言葉が添えられた、うら若き女性のいかにもせつなそうな表情も良い。
中をパラパラめくっていると、階段にちょこんと座ってこっちを見ている猫の写真に「おう」とあるのには爆笑した。「世の中」には、なぜかオープンカーに乗ったピーポくん(警視庁のマスコット)。つながりがよくわからんが、無理やり納得。そういえば『うめめ』でも、夜の交差点で踊っているピーポくんの写真が唐突に出てきて、妙にシュールで笑ったな。「陰謀」の写真の舞台は、新宿のクラシック喫茶、「らんぶる」だろう。時々行くことがある。…と、いちいち挙げてたらキリないな。
『男子』(リトルモア、2007年)は、小学生男子がおバカに暴れまわる生態を撮り集めた写真集。“男子(だんし)”という音の響きが、イメージとして確かにピッタリする。これも面白いんだけど、こきたねえガキンチョの写真にわざわざ金を払うのも…、と変なわだかまりが湧き起こって購入はせず。
今月出たばかりの『SWITCH』No.8でも梅佳代の写真で特集。テーマは「十代のいま、十代のころ」、被写体は新垣結衣。表紙を見た瞬間、一秒たりとも迷わずに買った。恥ずかしながら、ポッキーのCMで元気にピョンピョン飛び跳ねているのを見て以来、ガッキーの大ファン。単に見栄えがかわいいというだけでなく、表情がコロコロ変わるところがとにかく目を引く。そんな新垣の魅力を梅のユーモラスなアングルはよく捉えている。
ところで、私にはアイドルの写真集を買うという習慣がそもそもない。今回はカルチャー系の雑誌だし、あくまでも梅佳代の写真だから、と言い訳しながら(誰に?)レジへと向かった。店員さんと目が合ったとき、見透かされたような気がしたが、思い過ごしだろう。と言うか、別にエロ本買ってんじゃないんだから、何を動転してるんだ、オレは。
関係ないが、画集コーナーの新刊で、会田誠の作品集成『MONUMENT FOR NOTHING』(グラフィック社、2007年)が積まれていた。以前から会田の作品集は手許に置いておきたいと思ってはいたのだが、やはり5,000円はつらいなあ。迷っている。なお、会田の作風を知っている人に断っておくが、私は変態ではありません、念のため。
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