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2007年6月24日 (日)

「サイドカーに犬」

「サイドカーに犬」

 結論から言ってしまうと、この映画、とても好きだ。

 子供の頃、大人の世界は不可思議だった。大人たちはすぐ身近なところにいるのに別世界のロジックで動いている感じがあった。そのズレが、色々な面倒事から距離を置く防波堤となっていた一方で、背伸びして覗き込んでみたくなるもどかしさもあった。こうした距離感がなくなったのはいくつくらいの頃だったろうか。

 薫(松本花奈)の父(古田新太)が仕事を辞めていかがわしい中古車業を始め、母(鈴木砂羽)が家出した、ある夏のこと。ゴハンを作るよ、と言ってヨーコさん(竹内結子)が当たり前のような顔をして家にあがり込んできた。年齢不詳でマイペース、大人なんだか友達なんだか分からないヨーコさんに、薫は戸惑いつつもひかれていく。

 もちろん、母がいなくなってヨーコさんがやって来たということにはそれなりの大人の事情がある。薫の父の煮え切らない態度にヨーコさんは苛立ち、涙を流す。すっかり友達気分でいた薫は、そうしたヨーコさんの時折見せるいつもとは違った表情に驚く。手切れ金を渡されたヨーコさんは薫にこうささやいた。「あたしの夏休みに付き合ってくれないかな?」

 1980年代の東京、国立が舞台。今はなき三角屋根の駅舎がさり気なく映像をかすめる。ガンプラとかパックマンとかなつかしいが、私自身の記憶よりも微妙に古い雰囲気。竹内結子の演ずるヨーコさんが魅力的だ。無造作なようでいて、さり気なく自然に薫と接している姿がとても良い。大人の世界を垣間見せつつも、それが変にすねたりませたりしない印象を薫に与えているのがよくうかがわれ、どこかホッとした気持ちになった。

【データ】
監督:根岸吉太郎
原作:長嶋有『猛スピードで母は』(文春文庫)から「サイドカーに犬」
出演:竹内結子、松本花奈、古田新太、鈴木砂羽、ミムラ、樹木希林、椎名桔平、トミーズ雅、温水洋一、寺田農、他。
主題歌:YUI「UNDERSTAND」
2007年/94分
(2007年6月23日、渋谷、アミューズCQNにて)

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