「蟲師」
「蟲師」
人にとりついた蟲(ウィルスのように自然界のあちこちにうごめく物の怪のような存在と言えばいいのだろうか?)を払うことをなりわいとする蟲師のギンコ(オダギリ・ジョー)は旅を続けている。彼は自分自身の素性を知らない。ある日、昔なじみの淡幽(蒼井優)からすぐ来て欲しいとの連絡を受けた。行ってみると彼女は倒れていた。淡幽は蟲の記録をとり続けているのだが、訪ねてきた老女の蟲師から聞いた話を筆記しているうちに何やら異常が起こった様子。実はその老女の話にはギンコの失われた記憶の秘密が隠されているのだが…。
大友克洋が初めて実写に取り組んだ作品。華々しい蟲退治のシーンでもあるのかと思っていたら、意外に落ち着いたトーンで一貫していた。漆原友紀の原作を私は知らないのだが、設定を理解するのに時間がかかったせいかストーリーの成り行きがいまいちのみこめないままだった。前半部分、ギンコが蟲払いを行なうシーンと、ぬい(江角マキコ)と少年との出会いのエピソードとが交互に出てくるので、てっきり同時進行している話題が後で一つになるのかと思っていたら、時間的な前後関係になっていた。前知識を持っていた方が楽しめるだろう。
映像が二つの点でよく出来ている。一つ目は、蟲の描き方。蟲が自然界に溶け込んでうごめいている様子がCGの効果で違和感なく描写されていた。二つ目は、木々の豊かな風景。「電気の明かりが増えてきたな」というセリフがあるので時代設定は明治初期なのだろうが、日本の近代化する以前の暗がりと木々の青さとが非常に印象的だった。こうした映像づくりのおかげで、怪しのものが日常にとけこんでいる雰囲気がよく出ている。
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