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2007年4月22日 (日)

保阪正康監修・解説『50年前の憲法大論争』

保阪正康監修・解説『50年前の憲法大論争』(講談社現代新書、2007年)

 1951年に結ばれたサンフランシスコ講和条約は翌52年に発効し、日本は主権を回復した。それを踏まえて鳩山内閣は自主憲法制定を目指していた。本書は1956年に衆議院で行なわれた憲法改正をめぐる公聴会の議事録である。

 私自身としてはあまり憲法問題を熱心には考えていないので、スタンスとしては非常に素朴である。現行憲法については、いまそこにあるから受け入れるという程度。護憲だろうが改憲だろうがどちらでもいい。ただし、自衛隊の位置づけについては、解釈改憲の積み重ねではかえって超法規的でいびつな構造を生み出しそうな懸念を持つので、技術的な手直しが必要なのではないかとは思う。第九条へのこだわりはない。改憲は軍国主義復活につながるという議論にはリアリティーを感じない。

 本書を通読したところ、翻訳憲法の是非、第九条と自衛権の矛盾など、基本的な論点は現在とそれほど変わらない。ただ印象に残ったのは、当時の人々と皮膚感覚がかなり違うのだなあということ。辻政信が繰り返す共産化への懸念は、歴史の後知恵で今となっては笑って済ませられるが、1950年代という時代状況にあってはやはり切迫したものがあったのだろう。社会党の議員の発言には、今の視点からするとイデオロギカルな硬さを感ずる。しかし、彼らは現在の護憲論者とは違って、戦前において弾圧を実際に受けた人々だ。文面を理屈で捉えると非常に陳腐だが、その背後には実体験からにじみ出た怨念すら感じさせる。

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