「フラガール」
「フラガール」
先日、『キネマ旬報』で日本映画ベストワンに選ばれたのを記念した再上映らしい。観そびれていたし、入場料金も千円だったので入った。評判に違わず、なかなか良かった。
炭鉱からの連想だが、「ブラス!」と「Shall We ダンス?」を足して二で割った感じと言えば大雑把ながらもイメージがつくだろうか? 閉山が間近に迫った福島県の炭鉱街が舞台。町おこしのため、湧き出る温泉を利用してハワイアン・センターを作ることになった。一番の目玉はフラダンスだが、地元の雇用が最優先の条件。そこで、娘たちにフラダンスを習わせるため、東京からプロのダンサーが呼ばれてきた。最初は冷たい視線を浴びせていた炭鉱の人々。しかし、彼女たちが一所懸命に頑張っている姿を見ているうちに徐々に共感していく様子は、コメディータッチということもあり嫌味なく描けている。
東京から来たダンサー役の松雪泰子は、どこか崩れた訳あり女性が彼女たちとの交流を通してシャキッとしていく姿をよく演じている。何よりも驚いたのは蒼井優だ。福島弁をしゃべる素朴なあどけなさと、ダンスをしている時の凛々しさとをきちんと演じ分けていた。彼女が一人でダンスの練習をしている姿を見て、それまで反対していた母親(富司純子)が考えを変えるシーンがあるのだが、蒼井の踊る凛々しさにはそれだけの説得力があった。
去年の暮れ、たまたま宮台真司と宮崎哲弥との対談をラジオで聞いていたら、最近の日本映画ファンの間には蒼井優派と宮崎あおい派とがいると宮台が話していた。宮台は蒼井優派らしい。私自身は断然宮崎あおい派だったのだが、「フラガール」を観て少々ゆらいできた(だけど、ユニクロの店舗前の写真にいま宮崎あおいが登場しているが、彼女のうつむき加減にかげりを感じさせる表情はすごくいい)。
【データ】
監督:李相日
出演:松雪泰子、豊川悦司、富司純子、蒼井優、岸部一徳、他
2006年/120分
(2007年3月3日、新宿、シネマスクエアとうきゅうにて)
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