「墨攻」
「墨攻」
酒見賢一の原作、これを基にした漫画版ともに好きだったので楽しみにしていた作品だ。原作が好きな場合、映像化されると色々と不満が出てくることが多いが、この作品では期待を裏切られなかった。
戦乱の時代、実践的な活動を通じて平和主義(非攻説、兼愛説)を唱えていた技術家集団・墨家。趙の大軍に攻め寄せられた梁王は墨家に救援を求めた。やって来たのは革離(アンディ・ラウ)ただ一人。城内の者たちは半信半疑ながらも、彼の繰り出す知恵と巧みな統率力で、四千人の梁は十万人の趙軍をはね返した。しかし、革離の高まる声望に猜疑心を募らせた梁王は彼に謀反の罪を着せる。梁が内輪もめしている間にも、趙の知将・巷淹中(アン・ソンギ)は再攻の秘策を練っている…。
火攻めに水攻め、トンネル戦に空中戦と、様々な場面に人民解放軍の協力も得ているようで壮大な戦闘シーンは見応え十分。単に戦闘スペクタクルというだけでなく、戦いの凄惨なあり様を描き出すことで、墨家の思想にも光を当てている。日本・中国・韓国の合作。原作は日本、舞台は中国、主役の革離は香港のスター、アンディ・ラウが務め、対する趙の将軍・巷淹中は韓国の名優、アン・ソンギが冷静沈着な知将というイメージを巧みに表現している。
【データ】
監督:ジェイコブ・C・L・チャン
音楽:川井憲次
2006年/日本・中国・韓国/133分
(2007年3月3日、新宿ジョイシネマにて)
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