佐野眞一『私の体験的ノンフィクション術』
このブログを始めるにあたり、一日につき必ず一本は載せるという原則を自分に課した。が、やばくなってきた。忙しかったり病気で倒れたりしたときには、時間のあるときに書き溜めたり、以前につけておいたメモを切り貼りしたりしてしのいできたが、そろそろネタが底をつきそう。いや、取り上げたい本や映画はまだまだたくさんあるのだが、それをつたないながらも一つの文章にまとめるにはやはり時間が足りない。できれば浩瀚で読み応えのある学術書も取り上げたいのだが、そういう本ほど、読むばかりでなく内容を吟味するのに時間がかかるし…。
なんて言い訳している間にも、どんどん時間が過ぎてゆく。今回は、佐野眞一『私の体験的ノンフィクション術』(集英社新書、2001年)を取り上げる。
私はノンフィクション作品をよく読むが、佐野眞一は現在活躍しているノンフィクション作家の中でも尊敬する一人だ。タイトルだけをみるとハウツー本のように見えるかもしれないが、そういうのとはちょっと違う。佐野が取材をしながらどんな苦労をしたのか、そしてなぜ書こうという動機が生まれたのか、今までに発表した作品ごとに背景をつづっている。とりわけ、足で書き、人々の胸に飛び込んで自然に話を聞きだし、目前の風景からそこで生活を営む人間の意思を読み取るという点で、民俗学者の宮本常一にノンフィクション作家としてのあるべき姿を見出しているのが興味深かった。
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コメント
佐野眞一は小渕総理のことも書いていたな。
あれは面白かった。
投稿: みつぼ | 2007年2月 7日 (水) 09時00分
宮本常一 生誕100年 福岡フォーラム
宮本常一を語る会主催
5月27日(日) 13:00~17:00
アクロス福岡 円形ホール
フォーラム概要
主催者あいさつ[ 代表世話人 長岡秀世 ]13:00~13:10
ドキュメンタリー鑑賞[ "学問と情熱"シリーズから ]13:13~14:00
基調講演[ "家郷の訓"と私 原ひろ子 氏 城西国際大学客員教授 お茶の水女子大学名誉教授 ]14:05~15:20
パネルディスカッション[ コーディネーター 長岡秀世 ]15:35~16:45
パネリスト
武野要子 氏 (福岡大学名誉教授)
鈴木勇次 氏 (長崎ウエスレヤン大学教授)
新山玄雄 氏(NPO周防大島郷土大学理事 山口県周防大島町議会議長)
佐田尾信作 氏 (中国新聞記者)
藤井吉朗 氏 「畑と食卓を結ぶネットワーク」
照井善明 氏 (NPO日本民家再生リサイクル協会理事一級建築士)
作品展示
宮本純子[ 宮本常一名言至言書画作品 ]
瀬崎正人[ 離島里山虹彩クレヨン画作品 ]
鈴木幸雄[ 茅葺き民家油彩作品 ]
投稿: 宮本常一 | 2007年5月26日 (土) 06時01分