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2007年1月 5日 (金)

都築響一『TOKYO STYLE』

P1040017_2 『TOKYO STYLE』ちくま文庫、2003年
『賃貸宇宙』(上・下)ちくま文庫、2005年

 たまに知り合いの家を訪問したとき、部屋の中の何気ないレイアウトにも、その人の普段のたたずまいが何となく感じられて妙に納得してしまうことがある。私はまず本棚に目がいく.。意外な本が置いてあって「え、この人が」と一瞬虚をつかれても、よくよく考えてみると、その人の全体的な雰囲気の中に、むしろ奥行きをもってきちんと収まる。不思議なものだ。

 ちなみに私自身の部屋は、正直言って人を呼ぶにはあまりふさわしくない。本が棚に収まりきれず、段ボール箱につめて積んであったり、床にじかに積み上げて崩れていたり。片付けないと足の踏み場もないと文句を言われる。しかし、ちらかっているようでも、これはこれで私なりの秩序観=コスモスの表れなのだ(開き直るのはいいが、おおげさだね)。

 雑然とした部屋が私は結構好きだ。もちろん、文字通りのゴミためはご免こうむりたい。表現が難しいが、住む人の個性が筋道として浮かび上がってくるようなちらかり具合とでも言おうか。結局、その人なりに自然と落ち着く形に素直に従っておけば、本人の気持が安定するし、だからこそ部屋の個性が見えてくるのだろう。

 いずれにせよ、そうしたタイプの様々に個性的な部屋を見せてくれるのがこの写真集である。自分の身近にいないタイプの人びとの部屋を見られるというだけでも貴重ではないか。別に覗き見趣味はないけれど。

 取り上げられるのは、音楽、美術、劇団、その他得体の知れぬことにのめり込んでいる人たちの部屋が多い(すべてというわけではない)。決して美しい部屋ばかりではない。むしろ大半は汚い。しかし、ついつい見入ってしまう。意外と生活の智慧がにじみ出ていて役立ちそうなのも見つかったりする(ただし滅多にない)。

 何よりも、この部屋に住んでいる人は、いつも何を考え、何をして暮らし、何を夢見ているのか。そうした想像をめぐらし、時には感傷にふけりながら別の人生を追体験してみるのが楽しいし、刺戟的なのだ。

 実は、愛読書として折に触れてめくっている。ただ、写真集を廉価で文庫にしてくれたので仕方ないとは思うのだが、ページがポロポロとはがれやすいのが悲しい…。

【著者プロフィール】
都築 響一 1956年東京生まれ。ポパイ、ブルータス誌の編集を経て、全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』刊行。以来現代美術、建築、写真、デザイン等の分野での執筆・編集活動を続ける。93年『TOKYO STYLE』刊行。96年『ROAD‐SIDE JAPN』を刊行、同書で第23回木村伊兵衛賞受賞。

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