「ディパーテッド」
◆「ディパーテッド」
コステロ(ジャック・ニコルソン)はアイルランド系マフィアの大物。麻薬売買や殺人など様々な犯罪に手を染め、警察からマークされているがなかなか逮捕されない。そこで州警察はビリー(レオナルド・ディカプリオ)をスパイとしてコステロの組織に送り込む。一方、コステロもまた自分の息のかかったコリン(マット・デイモン)を警察内部に送り込んでいた。警察側も、コステロ側も、自分たちの組織にもぐりこんだ“ネズミ”が誰なのかあぶりだそうと躍起になる。二時間半にわたる長丁場だが、虚々実々の駆け引きにあふれるストーリーは緊張感が持続し、観ていて決して飽きない。ジャック・ニコルソンの悪党ぶりはさすがに凄みがある。
警察に任官したコリンの入居した部屋から議事堂が見える。サスペンス映画としても純粋に面白いが、この映画もやはり政治的なメッセージ性が強い。“ネズミ”探しで疑心暗鬼に陥るというストーリーは、9・11以降のアメリカでテロリスト探しという大義名分のもとで行なわれている騒動を暗示しており、とりわけ愛国者法をめぐる問題意識が随所に見え隠れする。なお、タイトルのdepartedとは、すでに亡くなった者という意味。身分を偽り、己の心を殺した者たちを意味しているだけでなく、変貌しつつあるアメリカ社会の姿をも指し示しているのかもしれない。
(2007年1月28日、新宿ミラノにて)
【データ】
原題:The Departed
監督:マーティン・スコセッシ
アメリカ/2006年/152分
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