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2007年1月25日 (木)

「気球クラブ、その後」

 村上さんが入院したらしい──どこからともなくそんな知らせがとびかい、かつて気球クラブに集っていた人々が再会。クラブのリーダーであった村上と、その付き合っていたミツコの二人についてみんなが回想するという筋立て。青春の終わりがテーマなのだろうか。気球に乗って空高く上がることは、若い頃に抱く“夢”のメタファー。メモを風船にぶら下げることは“夢”をペンディングして先送り。気球に憑かれていた村上がオートバイで事故死したことは、宙に浮かべた“夢”が地上に降りざるを得なくなって、心の中の何かが崩れてしまったことを表わしている、と言えるのだろう。

 前半のうるさいまでに執拗な携帯電話のやり取り、メッセージをぶらさげた風船など、色々と寓話的設定が散りばめられており、その気になれば深読みの面白さを堪能できる。それにしても酒盛りのシーンがやたらと多い。この映画を作った人にとって、青春とは酒を飲んで騒ぐこととほとんどイコールでつながっているのかね。永作博美の年齢不詳な大人びたあどけなさは、いつものことながら目を引く。

 園子温(その・しおん)監督の作品では「桂子ですけど」(1997年)、「うつしみ」(1999年)、「自殺サークル」(2001年)などを観たことがあるが、これらの観ていて疲れるくらいに濃い雰囲気に比べると、今回は珍しく落ち着いた青春ものだ。しかし、私はどうも園監督の作品が好きになれない。工夫をこらしており決して悪いとは思わないのだが、肌合いが違うのだろう。
(2007年1月19日、渋谷シネ・アミューズのレイトショーにて)

【データ】
監督・脚本:園子温
2006年/日本/93分

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コメント

この項を読み、最初、本当にものろぎや氏の友人の村上さんという人が入院したのかと思った 笑

投稿: みつぼ | 2007年1月25日 (木) 16時15分

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