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2007年1月11日 (木)

中国国家博物館名品展「悠久の美」

  中国国家博物館名品展「悠久の美」

 三年ほど前に、中国歴史博物館と中国革命博物館とが合併して中国国家博物館となった。その改築休館に合わせて所蔵品の一部を日本で展覧されることになったという。青銅器から唐三彩までが時代順に並べられており、展示品目がしぼられているのでゆっくり観て回っても疲れることはない。

 私は唐三彩の色合いというのが実はあまり好きではない。だが、殷の時代の青銅器は昔から気にかかっていた。武器と酒器が中心で、いずれもおそらくは祭祀用。とりわけ、酒器に細かく刻み込まれた饕餮文(とうてつもん)はいつ見ても強烈な印象を残す。すき間を一切あまさず文様で埋め尽くそうとする粘っこい執拗さは、盲目的なまでの意志の強さを感じさせる。それこそ呪術的なまがまがしさが醸し出され、観る者の視線をつかんで離さない。

 見所の一つは、滇(てん)の青銅器だろう。滇とは現在の雲南省あたりに栄えた国である。近年は、古代中国文明を単一の枠組みで捉えるのではなく、周辺文化圏のそれぞれにオリジナリティーを持った存在感を考古学的に解明する作業が着々と進められている。滇もそうした文化圏の一つで、北方とはまた異なった高度な青銅器技術を有しており、紀元後一世紀くらいに中国文明に飲み込まれてしまうまで存続していた。「漢委奴国王」印と同じ形式の金印が出土しており、「邪馬台国」と同様、漢王朝と朝貢関係を結んでいたことが分かる。ある時期までは牛をモチーフとした青銅器が多いこと、子安貝を納めた貯貝器(ちょばいき)が多く見つかっていることなど、黄河・長江流域の青銅器とは異なった特徴があり、興味深い。

(2007年1月7日、東京国立博物館にて)

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コメント


 読んでいて、台北の故宮博物院を思い出した。
 最近、大改修が完成し、より見易くなったよ。

投稿: みつぼ | 2007年1月10日 (水) 12時00分

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