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2007年1月19日 (金)

東京都写真美術館

 ホールで上映中の「恋人たちの失われた革命」を観に来たのだが、上映開始まで時間があったので展示を観てまわった。

 「球体二元論:細江英公の世界」展。土方巽を故郷の秋田で撮った『鎌鼬』(1969)が印象深い。村はずれのキチガイ、それを村人が穏やかに受け入れるという感じ。屋根から飛び降りる土方を見て驚く子どものおびえた表情がかわいい。暗黒舞踊について私は詳しいことを知らないのだが、あの雰囲気が農村の風景の中では意外と素直に収まるので驚いた。モダンというよりも、逆に土着的な情念の表れなのだろう。そこから切り離して無機質な都市空間に置いて観ようとするから妙な違和感があったのだと納得した。

 三島由紀夫を被写体とした『薔薇刑』(1963)。三島の力みかえったポーズを見ていると、思わず吹き出してしまいそうだ。三島のナルシシスティックな構えが私はどうにも好きになれない。これに対して、土方や大野一雄の、異世界に没入してしまったおどろおどろしさがこの世に顕現したかのような姿には、不思議と視線を釘付けにする強さがある。

 「地球(ほし)の旅人──新たなネイチャーフォトの挑戦」展。菊池哲男、前川貴行、林明耀の三氏による動物写真、風景写真の展示。動物たちのユーモラスで愛嬌のある表情に顔をほころばせ、山岳雪渓の雄大さには胸がすくような心地よさ。細江の濃い世界を観た後には一服の清涼剤のようで気持ちが落ち着く。

 「光と影──はじめに、ひかりが、あった」展。光と影のコントラストをテーマに焦点をしぼり、モホイ・ナジ、マン・レイから現代の写真家までを取り上げている。私は写真論には詳しくないので、光の出し具合そのものに工夫をこらした作品には実はあまり興味がそそられなかった。

 写真美術館では常に三つの展示を並行して行なっているので、丁寧に観ていると時間がかかる。ホールや近くのガーデンシネマでの映画鑑賞を組み合わせると一日かけて優雅な時間を過ごせる。(2007年1月14日)

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コメント

写真美術館で思い出したが、新国立美術館がいよいよオープンしたな。建物はとっくに出来ていただけに、いつオープンするのか、不思議だったが…

投稿: | 2007年1月21日 (日) 11時26分

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