「エレクション」
◆「エレクション」
香港の暴力団組織“和連勝会”は二年ごとに会長を選挙で選んでいる。今回の候補者は、冷静沈着なロク(サイモン・ヤム)と、粗暴だが行動力のあるディー(レオン・カーファイ)の二人。ディーは買収も含め様々な手段を用いてのし上がろうとしたが、人望がないため、後継の会長にはロクが選ばれた。ディーは憤懣やるかたない。そうした中、会長の正統性を示す竜頭棍が運ばれてくる──。
私は学生の頃、中国映画をテーマとする講義を取っていたことがある。香港駐在経験の豊かな元ジャーナリストが講師として来ていた。普段観ることのなかった中国映画を色々と紹介してくれただけでなく、その読み解き方を示してくれたのが興味深かった。中国は言論の自由が必ずしも保障されているとは言いがたい。映画にしても、表立っては表現できない政治的メッセージがシンボリックに織り込まれていることが多い。たとえ娯楽映画であっても、その裏にはどのようなメッセージが隠されているのか、そこを読み取ろうと意識を向ける癖がついてしまった。深読みしすぎて空回りする危うさもあるが。
この「エレクション」はヤクザの抗争を描いた映画であるが、邦題からすぐ分かるとおり、極めて政治色が濃い。人間が存在する限りどんな場面でも権力闘争があり得るという一般論レベルのテーマも読み取れるが、そればかりでなく、買収や当局による干渉が当たり前という中国の政治風土を一つのカリカチュアとして描いていることも想像できる。それにしても、広州に隠されていた竜頭棍が香港に運ばれてくるという筋立てにしたのはなぜだろうか? 広州と言えば、孫文の出身地である。中国における民主主義の伝統という大きな話題をほのめかしているのか。
(2007年1月26日、テアトル新宿にて)
【データ】
原題:黒社会
監督:ジョニー・トー
香港/2005年/101分
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コメント
よく映画観に行ってるなぁ。うらやましい。
時間(金も)が無いんだよな…
投稿: みつぼ | 2007年1月30日 (火) 09時29分